総務大臣の諮問機関である情報通信審議会は6月7日,通信サービスの基本料金について話し合う会合「基本料等委員会」を開催した。今回はNTT東西地域会社の各通信サービスの費用構造について,情報公開を進める方針が取り上げられた。総務省総合通信基盤局長が5月31日に東西NTTに出した要請文を受けた動きである。

 注目されるのは,東西NTTの電話基本料金の費用構造について。基本料金は東西NTT合わせて年間1兆8000億円の収入となっている。東西NTTが事実上独占する加入者回線から得る収益のため,その使い道など費用構造を公開するよう,情報通信審議会や他事業者が何度も求めてきた。

 要請では基本料金を含む各通信サービスについて,(1)収入,(2)費用をどの部門にどの程度の額割り当てているのかを公開することが求められている。例えば,営業部門の項目でも,料金について「料金計算」,「請求書作成」,「料金回収」など細目に分けた額を示す。従来は総額だけを公開していた。細目は総務省に対して提出されるが,一般には公開されない見通し。

 委員会には東西NTTも出席。総務省からの要請について大きな反論はなかった。このまま議論が進めば,2004年度の決算から細目が公開される見通しだ。

 公開が実現されれば「出てきた数字をどのように検証するのか。委員会で確認作業をするのか」(基本料等委員会の手塚仙夫委員)といった課題も見えてくる。まずは「数字が公開されれば,それをもとに他事業者が議論できる」(同関口博正主査代理)として,パブリック・コメントなど意見募集の制度を活用していく見通しだ。

 基本料を巡っては,東西NTTが直収電話への対抗策として今年の1月1日に値下げをしている。昨年秋に決定した2005年度以降の接続料議論でも,基本料と接続料の関係が取り上げられた。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション

●日経コミュニケーション編集部より 費用構造の公開時期について記事掲載時は「2005年度」としておりましたが,昨年度の「2004年度」の分から公開する見通しであることが判明したため修正いたしました。また,細目については一般に公開しないという点を補足いたしました。2段落の「既に関連法令にも公開する旨が明記されている。」という記述を削除いたしました。2005.06.08