総務省は6月3日,2005年3月末時点での光ファイバの事業者シェアを公表した。その結果,近畿圏で電力系事者に押されていたNTT東西地域会社が巻き返していることが判明した。この調査は,ユーザー宅に引き込む光ファイバの加入者回線について,東西NTTとその他の事業者のシェアが対象で,都道府県ごとに公表している。

 これによると東西NTTのシェアは全国平均が88.1%。各都道府県では,沖縄県が95.6%,静岡,熊本県がほぼ100%であるのに対し,7割台の地域もある。例えば,東西NTTのシェアが最も低いのは滋賀県の70.9%。このほか,奈良県,東京都,京都府,兵庫県といった都府県が7割台となっている。

 今回の調査で鮮明となったのは,東西NTTの巻き返し。1年前の2004年3月末の時点では滋賀県は61.7%,奈良県は59.7%だった。和歌山県や広島県でも約6割からは8割台まで飛躍した。

 シェアは,総務省による規制方針を決める上での重要な基準となっている。総務省はシェア5割以上の事業者の設備に開放義務を課しているため,5~6割台と東西NTTのシェアが低いエリアの動向に注目が集まっていた。現時点ではシェアを「光ファイバ+メタル線」で見るため,開放義務の撤廃には直結しない。ただし,関連法令では,「メタル線」や「光ファイバ」の扱いが明確でなく,「光ファイバ単体」との解釈も否定できないため,実際に5割を切った場合には,総務省やNTTが何らかの動きを見せる可能性もある。

 なお,今回の公表は速報値。数値を精査した上で,再度発表するという。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)