総務省は6月3日,第3世代(3G)携帯電話サービス向けの新周波数割り当てに向け,事業者を募る免許方針案を公表した。同案では1.7GHz帯で新規事業者2社への割り当てを容認している。この周波数帯で参入に強い意欲を示しているソフトバンクBBとイー・アクセスの2社が割り当てを受ける公算が高まった。

 総務省が事業者を募るのは(1)1.7GHz帯(上り1.7500G~1.7850GHz,下り1.8449G~1.8799GHzの計70MHz)と(2)2GHz帯(2.010G~2.025GHzの計15MHz)の二つの周波数帯。

 このうち,1.7GHz帯は上り下り計30MHz幅を全国エリアで利用できる(図=下りの周波数帯のみ示した)。残りの計40MHzについては東名阪のみで限定的に利用する。方針案では,全国エリアで利用できる1.7GHz帯の計30MHz幅を新規事業者に最大2社,それぞれ計10MHz幅ずつ割り当てる。この結果,新規に参入を希望しているソフトバンクBBとイー・アクセスの両社とも,割り当てを受けられることになる。

 免許方針案では参入を希望する事業者に対して,サービス開始の前提となる無線基地局の運用を2年以内に開始することとした。さらに,携帯電話のエリア・カバー率を,全国の総合通信局の管轄地域ごとに5年以内に5割以上とすることも示した。

 全国エリアで残る計10MHz幅については,サービス開始後の周波数のひっ迫状況を見ながら追加で割り当てる方針を示した。

 東名阪の計40MHzについては新規・既存事業者を問わず,上り下り計10MHz幅ずつ割り当てる。既存事業者ではNTTドコモとボーダフォンが割り当てを希望している。ただし既存事業者は,割り当て済みの3Gサービス用周波数の1MHz当たりの利用者数が一定数を超えていることが条件となる。

 一方の2GHz帯は新規参入事業者1社に対し,15MHz幅すべてを割り当てる。ただし,割り当てる事業者は1.7GHz帯とは異なる事業者とした。この帯域は,ベンチャー企業のアイピーモバイルが割り当てを希望している。

 方針案は7月4日までパブリック・コメントを募集した後,正式な方針として確定する。

 なお,割り当て方針案公表直後,イー・アクセスが「新規参入による競争促進を後押しする姿勢を明確にしている」と歓迎のコメントを発表。方針確定前から参入意欲を猛烈にアピールしている。

(蛯谷 敏,白井 良=日経コミュニケーション