イー・アクセスとニフティは5月31日,同社が新規参入を目指しているW-CDMA方式の第3世代携帯電話サービス(3G)において,協業の検討開始に合意したと発表した。協業の内容は,ニフティがイー・アクセスの3G網を活用し,MVNO(仮想移動体通信事業者)として事業を展開するというもの。ただしイー・アクセスの3G事業参入は未確定。現時点では「事業の可能性について話し合うことで合意した段階」(ニフティ)である。

 MVNOとは,移動通信事業者からサービス・ネットワークの一部を借りて,自社のブランドでサービスを提供する会社のこと。現在,MVNO向けサービスを提供している携帯電話事業者各社はないが,イー・アクセスは以前から事業計画に掲げていた。なおニフティは,ウィルコムのPHS網を活用したMVNO事業を2003年から展開している。

 イー・アクセスの狙いは,「モバイルと固定ブロードバンドをパッケージ化して,ユーザーに新たな付加価値を提供すること」(イー・アクセス)。一方,ニフティの狙いは事業の幅を広げること。「用途がデータ通信か音声通信かといった話すらしていない」(ニフティ)ため具体的な構想への言及はなかったが,アクセス回線の品ぞろえ強化から,料金請求の一本化などの新事業立ち上げまで様々な展開が考えられる。「色々な方向で検討していきたい」(ニフティ)としている。

 イー・アクセスは3Gの事業化後,“モバイルと固定ブロードバンドのパッケージ化”を事業の一つの柱としたい模様だ。固定とモバイルをセットにしたアクセス・サービスを商品化し,その販路としてニフティなど大手ISPへのMVNOを想定している。ニフティ以外にも「ADSLで既にパートナーとなっているプロバイダ数社と話を進めている」(同社)。また,自社で展開している「AOL」ブランドでは,インターネット接続,固定とモバイルのアクセス回線の一体提供も検討している。