ボーダフォンは5月24日,2004年度(2004年4月~2005年3月)の連結決算を発表した。日本テレコムが売却により連結対象からはずれたことに加え,本業である移動通信事業の業績も悪化。売上高は前年同期比11.2%減の1兆4700億円,営業利益は同14.6%減の1580億円,経常利益は同15.4%減の1533億円で減収減益となった。

 移動通信事業単体の収支は,売上高が前年同期比2.6%減の1兆4700億円,営業利益が同28.5%減の1576億円,経常利益が同15.4%減の1538億円だった。年間加入純増数が8万9300と低迷する一方で,1加入者当たりの平均通話料収入(ARPU)も6730円から6150円へ大幅に目減りして通信料収入が減少。また,顧客維持費用や第3世代携帯電話(3G)関連設備の減価償却費が増加して減益につながった。

 ボーダフォンの津田志郎会長は業績低迷について「3G端末の機能や操作性,サービス・エリアなどが日本市場のニーズを十分満たせず,ユーザーが競合他社に流れてしまった」と分析。今後は3Gサービスの強化に拍車をかける。2005年度内に3G基地局約5000台を追加設置し,屋内など不感エリアの解消に努める。またバックボーン・ネットワークへのダーク・ファイバ活用などでコスト構造も改善する方針。ただし来期の業績見通しについては公表せず,「厳しい環境になる」(津田会長)と述べるにとどまっている。