イー・アクセスは5月23日,モバイル向けWiMAX規格「IEEE 802.16e」の利用を総務省に提案したと発表した。WiMAXは,一つの基地局で半径数kmをカバーし,数M~数十Mビット/秒で通信できる新しい無線通信技術。なお同社は,WiMAX機器メーカーや通信事業者の業界団体である「WiMAXフォーラム」に2004年8月からメンバーとして参加している。

 今回の提案は,総務省の主催するワイヤレスブロードバンド推進研究会に対して行われたもの。この研究会では,無線ブロードバンドについて想定される用途や技術,使用したい周波数帯と周波数幅の提案を4月14日から5月20日まで受け付けていた(関連記事)。ここで通信事業者やメーカーなどから集まった意見をベースに,無線ブロードバンド環境を整える政策について議論を進める予定だ。

 同社は第3世代携帯電話サービスへの参入を希望しており,WiMAXをその補完に利用したいとしている。具体的には,トラフィックが集中するエリアで携帯電話網と分散処理することで周波数の利用効率を上げたり,高速・高スループットを実現する手段としての利用を想定。2009年ごろのサービス開始を希望している。

 また同社は,WiMAX用の周波数として6GHz以下において市場全体で約450MHz幅の帯域が必要と推算。ワイヤレスブロードバンド推進研究会への提案を通じて,総務省に分配を働きかける。同社はこの一部の割り当てを希望する見込みだ。

 なおWiMAXにはモバイル向けの「IEEE 802.16e」と,固定利用向けの「IEEE 802.16-2004」の2種類がある。今回イー・アクセスが利用意向を表明したIEEE 802.16eは現在標準化中で,早ければ2005年9月には完了する見込みだ。IEEE 802.16-2004は既に標準化済み。