日立製作所は5月23日,パソコンからHDDを省くことで情報漏えいを防止するソリューション「セキュリティクライアントソリューション」のライアンナップを強化すると発表した。特徴は,社員が使うパソコンの機能をサーバーに搭載するブレード型の装置に集約すること。これによって,社員は一切のデータを机上の端末側で保存できなくなる。価格は,100ユーザー当たりの最小構成で3300万円から。6月3日に出荷を開始する。

 システムは主に,(1)外観は今のパソコンと同じだがHDDを搭載しない端末,(2)HDD,CPU,メイン・メモリーなど今のパソコンと同等の機能を1枚のボードに小型化したブレード型のクライアント・モジュール――の二つで構成する。HDDレスの端末には,クライアント・モジュールにネットワーク経由でアクセスするソフトウエアが,あらかじめ組み込まれている。社員はHDDレスの端末を操作することにより,社内LAN経由でクライアント・モジュールに搭載したアプリケーションやサービスを利用できる。

 HDDレスの端末は,2モデルを用意した。「FLORA Se310」は液晶ディスプレイを一体化したデスクトップ型。価格は13万5975円。「FLORA Se270」はA4判のノート型で,価格は13万5450円。このほか2005年第3四半期にも,6万円台のデスクトップ型モデルを用意する計画。クライアント・モジュール「FLORA bd100」の価格は20万円。クライアント・モジュールは,ベース・ユニットに差し込んで利用する。このベース・ユニットの価格は21万円で,1台当たり最大14枚のクライアント・モジュールを搭載できる。

 既存のパソコンに比べて端末の導入コストが大きくなる。日立製作所は,「ブレード型にすることで端末をセンター側で一元管理できるため,運用コストの削減で補える」(情報システム本部の中島史也本部長)としている。日立製作所は2005年度中に7000台,2006年度と2007年度中にそれぞれ8000台のクライアント・モジュールを自社導入する計画。「導入費用は10~20%上がるが,一方で運用にかかる人件費を30%減らせる。この結果,2007年度には全体で10%のコスト削減効果を見込める」(中島本部長)。

 また日立製作所は,一元管理が可能になるメリットを生かし,クライアント・モジュールの一元管理を日立側で引き受けるアウトソーシング・サービスも提供する。こうした新規事業を含め,2005年度中の販売目標は台数ベースで3万台,金額ベースで100億円を目指す。2006年度は金額ベースで200億円まで拡大したい考え。

(加藤 慶信=日経コミュニケーション