パソコンや関連機器を販売している日本エイサーは,コール・センター向けのIPセントレックス・サービスを導入し,3月中旬から運用を始めたことを明らかにした(写真)。コール・センター用のIP-PBXは事業者のサービスとして利用し,自社では設備を保有しないのが特徴。

 同社は運用を始めた新コール・センターで,販売した製品についての使い方や修理などのアフター・サービスについての問い合わせを受けている。席数は6と小規模。日本エイサーは「小規模なコール・センターをコストを抑えつつ短期間に構築する」(サービス&ソリューション部・佐藤晃一統括部長)として,コール・センターのIP-PBXをアウトソーシングすることにした。

 採用したのは,通信ベンチャーのコラボスのコール・センター向けIPセントレックス・サービス。拠点にアクセス回線を引き込み,コラボスからIP電話機をレンタルする。アクセス回線は,NTT東西地域会社のFTTH(fiber to the home)サービス「Bフレッツ」。コラボスに支払う初期費用は70万円。全体でおよそ300万円で構築した。毎月のコストはコラボスの利用料金と通話料金を合わせて約30万円だという。

 IPセントレックスでIP電話化した理由には,業務の把握という目的もあった。同社は従来,通常のオフィス電話で問い合わせを受けていた。サポート要員が応対できない場合は,他部署の社員が電話を受けることもあったという。そのため「人件費や無駄な作業の有無などを正確に把握できなかった」(佐藤統括部長)。これをIP化することで「着信数やユーザーが自動応答で選択したジャンルなどが数字で把握できるようになった。また,データから人件費を把握し,サポート要員を効率的に配置する参考にもなる」(同)。

 日本エイサーは,国内にある修理センターと海外のコール・センター拠点にもサービスを導入する計画。日本のコール・センターを含めてIP内線化する。各拠点はブロード・バンド回線を用意し,IP電話機をつなぐだけでいい。

 同社は今後,コラボスのIPセントレックスとアプリケーションとの連携利用を予定している。具体的には,従来から利用していたセールスフォース・ドットコムの顧客管理データベースのASP(application service provider)サービスと連携させる。電話番号をキーとして着信時に顧客データなど関連情報を表示したり,クリック一つで相手に発信できるようにする。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション