Webベースのグループウエアを開発・販売するサイボウズが,3月に出荷した「サイボウズ Office6.5」にIP電話「Skype」との連携機能を実装した。4月に同社の社長に就任した青野慶久氏にグループウエアとIP電話との連携の行方を聞いた。

──サイボウズ OfficeにSkypeを搭載したわけは。

 IP電話がグループウエアにもたらす影響を見るテスト・マーケティングの一環である。現段階はグループウエア画面に表示した電話番号をクリックするとSkypeを起動する機能を追加したレベルで,Skypeが持つプレゼンス情報とは連携していない。

 6月に発売する大企業向けの「サイボウズ ガルーン2」では,IP電話サービスと本格的な連携機能を備える。既に前バージョンから富士通の「FENICS IP電話サービス」と連携している。NECのソフトフォンとの連携も確認済みだ。今後ほかの通信事業者が提供するIP電話サービスとの連携も計画している。

──IP電話システム提供しているプレゼンス情報とサイボウズとの連携の方向性は。

 既にサイボウズ OfficeはWebブラウザ画面に表示する独自の「在席表示」機能を提供している。これとは別にクライアントで動作する在席管理アプリケーションも提供している。つまりサイボウズとして2種類のプレゼンスを既に持っているからだ。ここにIP電話システムが備えているプレゼンス機能も加わる。

 こういう状況では,どのプレゼンスがスタンダードになるかは問題ではない。グループウエアとしては,ユーザーが見たいプレゼンス情報を参照できる入り口を備えていれば良い。グループウエアが背後にあるプレゼンス情報と連携するイメージだ。

──今後,グループウエアはどういう方向で拡大するのか。

 スケジュールなどを表示するアプリケーションとしての領域を超えて,今後は社員が使う「情報流通プラットフォーム」になる。アクセス管理や認証といったアプリケーションよりも下のレイヤーにあるインタフェースを取り込むことで,IP電話などのサービスをグループウエアから簡単に利用できるようにする。

──フルブラウザを搭載した携帯電話機が登場したが,グループウエアの利用法は変わるか。

 携帯電話向けに独自のページを作成する必要がなくなる。携帯電話のブラウザから,パソコン向けのグループウエアをそのまま参照するユーザーが増えるだろう。

 その一方でサイボウズは,グループウエアが管理する情報を携帯電話から参照できるようなiアプリも開発している。グループウエアのオプションとしてユーザーに提供する計画だ。

(松本 敏明=日経コミュニケーション