バッファローは5月9日,電波法施行規則等の一部改正(5月16日予定)に伴うIEEE 802.11aの新チャネル/周波数帯に対応した無線LAN機器(写真)を5月中旬に発売すると発表した。また,既存のIEEE 802.11a対応の同社製無線LANアクセス・ポイント(AP)および無線LANカード,イーサネット・コンバータを対象にファームウエアの無償ダウンロードを7月に実施する。

 5月16日予定の電波法施行規則等の一部改正では,(1)5.2GHz帯(W52)の周波数をシフトして欧米のチャネルと合わせる,(2)5.3GHz帯(W53)の新周波数帯を追加する──の2点が実施される。これら2点が既存のIEEE 802.11a機器に影響する。

 (1)では,既存の5.17GHz,5.19GHz,5.21GHz,5.23GHzをそれぞれ10MHzずつシフトして,5.18GHz,5.20GHz,5.22GHz,5.24GHzとする。これは欧米のチャネルに合わせた措置で,日本国内では気象レーダーが使っている周波数のガード・バンド部分(5.24GHzから5.25GHz)を開放することで実現。この対応のため,総務省では「1年近くかけて干渉などの影響が出ないことを検証した」(総務省総合通信基盤局電波部基幹通信課の中西悦子課長補佐)。

 (2)の新周波数帯は,2003年7月に開催された「2003年世界無線通信会議」(WRC-03)で無線LAN用に追加されたもの。5.26GHz,5.28GHz,5.30GHz,5.32GHzの計4チャネルが追加され,IEEE 802.11aでは合計8チャネルが利用可能となった。ただし,この(2)に対応するには,同じ周波数帯を使っているレーダーなどの電波を検出できる仕組み(DFS,Dynamic Frequency Control)が不可欠となる。そのため,ソフトウエアの更新だけでは対応することができない。

 この改正により,今後販売されるIEEE 802.11a対応の無線LAN APは,従来チャネル用と新チャネル用の二つに分かれる。このため購入時はどちらに対応する製品かを確認する必要がある。 

 バッファローが実施するファームウエアの無償ダウンロードは,(1)の周波数シフトに対応するもので,(2)の新周波数の追加に対応するものではない。ただし法人向け既存IEEE 802.11a製品の一部製品については,(1),(2)の両方に対応するための有償アップグレード・サービスを用意する。(2)への対応はTELEC(財団法人テレコムエンジニアリングセンター)の技術基準適合証明および工事設計認証が再度必要となるため,いったんバッファローが回収して作業する。

(大谷 晃司=日経コミュニケーション