KDDIは4月28日,2004年度(2004年4月1日~2005年3月31日)の連結決算を発表した。営業収益は対前年度比2.6%増の2兆9200億円,営業利益は同1.4%増の2962億円,経常利益は同4.3%増の2863億円で,増収増益となった。固定通信事業が減収減益だったものの,携帯電話の「au」事業が前年度に引き続き好調だった。au事業の営業収益は2兆927億円で全体の約7割を占める。

 2005年度は,2月1日から提供開始した直収電話サービス「メタルプラス」を積極的に販売していく。2005年3月末時点の契約数は4万1700回線。出足が鈍い理由を,小野寺正社長は「様々な手続きがある上に不慣れなこともあり,開通数を制限していた」と説明する。現在は契約数が順調に伸びており,4月25日時点で14万回線に増えたという。このペースで契約数を増やしていき,2005年度末には220万回線を目指す。

 メタルプラスの拡販に伴う費用や設備投資への負担は,auの増益分でカバーする計画。2006年度は携帯電話の番号ポータビリティ導入により,au拡販計画へ多額の投資が予想される。2005年度中にメタルプラスを軌道に乗せておき,2006年度に予想されるau事業の減益をカバーする――という青写真を描いて見せた。2005年度通期(連結)の業績は,営業収益が2兆9760億円(対2004年度比560億円増),営業利益が2890億円(同72億円減)の増収減益を予想する。

 このほか,ウィルコムやボーダフォンが相次いで提供を表明した音声定額制の導入に対しては,「(ウィルコムの)加入者間や(ボーダフォンの)家族間の定額であれば,大きな影響を受けるようなものではない。今後考えていかなければならない課題ではあるが,すぐに提供する予定はない」(小野寺社長)とした。また,4月22日に敗訴した接続料をめぐる行政訴訟の判決に対し,「誠に遺憾」としながらも,2005年度の接続料は事後清算が廃止され,NTSコストを段階的に控除していくことになった点などを評価。「一定の成果は得られたということで控訴しない」(小野寺社長)ことを明らかにした。