KDDIなど電話会社5社が2002年7月に総務大臣を相手取って起こした電話接続料を巡る行政訴訟は,各社が控訴を断念する方針であることが本誌の調べで明らかとなった。東京地方裁判所は4月22日,電話会社側の訴えを退ける判決を出していた。

 訴訟を起こした5社はKDDIと日本テレコム,パワードコム,ケーブル・アンド・ワイヤレスIDC(現日本テレコムIDC),フュージョン・コミュニケーションズ--の5社。NTT東日本とNTT西日本の両社の接続料について,総務大臣に対する計10件の訴訟を取り下げる。

 控訴を断念した経緯には,2005年度以降の接続料制度が5社の意向をある程度反映したことが大きい。裁判では,2003~2004年度の電話接続料の策定過程を争っていた。

 5社が挙げた主な争点は,(1)情通審の規則には,約款の認可時に利害関係者の意見聴取が定められているが,総務省が手続きを取らなかった,(2)接続料に本来含まれるべきでない,加入者回線の維持費用が上乗せされているのは,正当なコストとは言えず電気通信事業法に反する,(3)電話トラフィックが規定値以上に増減した場合に差額を精算する「事後精算方式」の導入は,電気通信事業法に規定されていない,(4)東西NTTの接続料を均一にしたのは不当な取引制限で独占禁止法違反--など。

 2005年度以降の制度では,このうち(1)(2)(3)に関して,5社側の主張に近い方式に改められた。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション