静岡県を中心に広域イーサネットなどを提供するビック東海が,東京-大阪間の基幹網を完成させたことが明らかになった。

 ビック東海は,国道などを掘削したりするのではなく,国土交通省が設置した「情報ボックス」を利用して光ファイバを敷設している。情報ボックスとは,国土交通省が全国の主要国道に光ファイバを敷設するために作った管路のこと。中には6本の管路があり,そのうち3本が民間に開放されている。

 基幹網の敷設の検討は1996年に開始。国土交通省(当時は建設省)と3年にわたる折衝を進め,2000年7月に貸し出しの採択を受けた。2001年5月には,東京・町田から名古屋までの基幹網を完成させている。その後,最もトラフィックの集まる東京-大阪間でのサービス提供を目指して,名古屋-大阪間の工事を実施。2005年3月,完成にこぎ着けた。

 構築にかかったコストは「道路を掘削して敷設する方法に比べて10分の1程度で済んだ」(ビック東海)。今後は関東一円での敷設をさらに進め,2008年3月には総延長1692kmの光ファイバ網が完成する予定だ。

 ビック東海が新たに敷設した名古屋-大阪間の基幹網には,伝送機器ベンチャーの米コリジェント・システムズの「CM-100」を採用した。安価なベンチャー製品を使って基幹網を構築することで,サービス提供価格を大手通信事業者よりも安く設定する。

 「当社のように既存のネットワーク資産を持たない通信事業者は,ゼロからネットワークを構築しなければいけない。いかに安く,豊富な機能を提供できるネットワークを構築できるかがキモになる。大手通信事業者と同じようにSONET/SDH網を今から構築するのでは勝ち目がない」(ビック東海通信事業部企画部企画グループの高橋強グループ長,写真)。

 新基幹網を使った新サービスは「5月にも投入する計画」(高橋グループ長)だ。

(山根 小雪=日経コミュニケーション