富士通は4月27日,2004年度(2004年4月1日~2005年3月31日)の連結決算を発表した。連結の売上高は前年度比0.1%減の4兆7627億円,営業利益は同6.6%増の1601億円,経常利益は同78.9%増の890億円となった。純利益は同35.8%減の319億円と,177億円の減益となった。営業利益,経常利益は前年度より改善したものの,2004年度初頭に掲げた目標である「売上高4億9500億円,営業利益2000億円,純利益700億円」には届かなかった。

 セグメント別では,通信関連機器やサーバー,ハードディスク関連の「プラットフォーム事業」が好調。売上高は前年度比6.0%増の1兆7051億円,営業利益が同257億円増の550億円となった。「NTTドコモ向けの第3世代携帯電話基地局や,欧州や北米の通信事業者向け伝送システムの販売が好調だった」(小倉正道取締役専務CFO)。またハードディスク関連も前年度比19.7%の増収と事業の増収増益をけん引した。

 しかしシステム・インテグレーション(SI)やIT関連サービスの「ソフトウエア・サービス事業」が振るわなかった。売上高は前年度比1.1%減の2兆704億円だが,営業利益は同257億円減の1130億円と約19%の減益となった。「不採算案件となっているプロジェクトの影響が大きかった」(小倉CFO)。不採算案件による損失のみならず,開発リソースを不採算案件の納期と品質確保に奪われてしまい,その他の案件に回せなかった。

 同社は不採算案件を以前から問題視しており,2004年2月には商談を各段階で審査する組織を設立している。しかし2004年度もこの問題に悩まされてしまった。そのため2005年4月には社長直轄の「SIアシュアランス本部」を設立し,不採算案件の発生防止体制をさらに強化した。

 なお半導体などの「電子デバイス事業」は売上高が前年度比0.1%減の7338億円,営業利益が同50億円増の325億円となった。

 また2005年度の連結業績見通しは,売上高は2004年度比1.8%増の4兆8500億円,営業利益は同9.2%増の1750億円,経常利益は同12.3%増の1000億円,純利益は同56.7%増の500億円と増収増益を見込む。