日本コムシスは,NTTドコモのFOMA/無線LANデュアル端末「N900iL」を1000台以上使った大規模IP電話システムの構築を開始する。5月から6月にかけて大崎本社に700台,品川本社に500台のN900iLを導入。このうち約半分はFOMA契約をしない白ロムを採用する計画である。既に大崎本社の一部では試験運用を始めている(写真)。

 同社では現在,内線電話システムに事業所PHSを使っている。また,外出が多い社員は携帯電話も併用。N900iLを導入することでこれらを1台にまとめることができる。

 PHSは白ロムで利用しているため,FOMA機能を持たない無線VoIP端末の採用も検討した。だが,同社ではWebブラウザをインターフェースとして使った業務アプリケーションを既に活用している。これらを携帯から利用できるようにするため,白ロムも含めて無線LANブラウザを搭載するN900iLに統一した。

 N900iLと組み合わせる無線LANアクセス・ポイント/スイッチは,NEC製の「UNIVERGE WLシリーズ」を採用する予定。SIP(session initiation protocol)サーバーは同社が販売するユニーク・リンク製のSIPサーバー・ソフト「OfficeWizard SIPサーバ」を使って構築する。ただし,OfficeWizard SIPサーバはN900iLが備える独自拡張プロトコルを使った内線機能には対応していない。そのため,別途N900iLの独自SIPシーケンスを変換して内線機能を相互利用できるようにするゲートウエイを組み合わせる。

 今後,同社は3年程度かけて支店などを含め全社にシステムを展開。最終的には固定IP電話を合わせると端末台数が1万台規模のIP電話システムとなる。

(大谷 晃司=日経コミュニケーション