NTTドコモは,FOMA基地局を企業内に設置するモバイル・セントレックスを開発中であることを改めて表明,現在提供中の無線LAN方式の「PASSAGE DUPLE」との2本立てで推進することを強調した。4月13日,東京ビックサイトで開催中の「IP & Wireless Forum 2005」(主催はリックテレコム)のセミナーで,同社の法人営業部プロダクトビジネス部の安田準第一サービス推進担当部長(写真右)が明らかにしたもの。提供時期は未定で「本年度中ではない」(安田氏)。

 NTTドコモは,既に2004年3月に企業内のLANに接続する方式の基地局を公開。実用化は2006年ころとしていた。今回のセミナーの公開内容も基本的には同じ。

 NTTドコモの基地局設置型モバイル・セントレックス(写真下)の対象ユーザーは大規模ではなく中小規模を想定。同社が既に提供している「PASSAGE DUPLE」とは,(1)FOMA端末であればどんな機種でも使用できる,(2)無線区間にW-CDMAを使う点,(3)PBXの内線機能を引き継ぐものではない,などの点が異なる。

 KDDIの基地局型モバイル・セントレックス「OFFICE WISE」との違いは,(1)基地局を社内LANに接続し有線部分はIPを使う点,(2)社外の携帯電話網にIP網経由で接続する点。FOMA網へのアクセス回線については「NTT東西との協力も必要になる」(安田氏)とした。

 講演では,PASSAGE DUPLEの導入企業数や次世代のFOMA/無線LANデュアル端末にも触れた。4月13日時点で運用中のユーザーは20社で,部分導入やテスト中のユーザーを含めると100社近くになるという。また,次世代の端末は,コンパクトHTML(CHTML)対応のブラウザではなく,フルブラウザの搭載を検討していることなどを明らかにした。


(大谷 晃司=日経コミュニケーション