神戸製鋼所は,3月から進めているIPセントレックスの導入と並行して,同社の加古川製鉄所に2300台の事業所PHSを導入した。2300台中1500台は公衆回線契約を結んだ“黒ロム”で,ウィルコム(旧DDIポケット)と契約。端末は日本無線(JRC)製と三洋電機製を採用した。残り800台はNTTドコモの端末で,公衆回線契約をしない“白ロム”である。

 事業所PHSの導入を決定したのは2004年7月。無線IP電話機の導入も検討したが,(1)検討時点で防爆仕様(高温下などでの発火や爆発を防ぐ仕様)を満たした無線IP電話機のアンテナがなかった,(2)PHSが枯れた技術であり,安定性を重視したことなどから導入に踏み切った。

 加古川製鉄所内には,沖電気工業のIP-PBX「DISCOVERY01」と既存の端末を収容するためのIP遠隔回線ユニット「IPLTU」を設置。PHSと固定電話を合わせて4000台規模の内線電話システムを構築した。ゲートウエイを介して,同社が導入を進めている自営のIPセントレックスによるIP電話システムと相互接続する。

 ウィルコムは法人向けの定額音声プランも用意しているが,現状神戸製鋼所では定額プランは利用していない。製鉄所外での外線通話料が膨らむユーザーは少数と見ており,数カ月の利用状況を見てから端末ごとに検討する方針。

(大谷 晃司=日経コミュニケーション