NTT西日本は3月29日,有線のアクセス回線を敷設することが困難な離島や山間,都市部などに向け「拠点間無線ソリューション」を提供すると発表した。無線システムを利用してアクセス回線を延長する。提供開始は4月1日。

 無線アンテナを2本対抗で設置し,アクセス回線を延長する。伝送区間や伝送速度,利用する周波数帯域が異なる「長距離区間タイプ」「中距離区間タイプ」「短距離区間タイプ」--の3メニューを用意した。

 長距離区間タイプは離島,山間などに向くメニューで,伝送距離は最大24km,伝送速度は最大11Mビット/秒。2.4GHz帯を使う。この周波数帯域の無線機器が普及しているため,3メニューの中で最も構築費用が低い。

 中距離区間タイプは,18GHz帯を使って伝送距離最大8km,伝送速度最大156Mビット/秒のシステムを構築する。同メニューのみ無線局免許が必要で,公共利用で使う場合に提供が限られる。公共施設を結んだり自治体の監視システムを構築するケースに向く。

 短距離区間タイプは,イベントなどで一時的に構築するネットワークやビル間通信での利用を想定している。伝送距離は最大200m,速度は最大1.25Gビット/秒である。60GHz帯を使用する。

 拠点間ソリューションの特徴は短期間,低コストで導入できることだという。導入期間の目安は,長距離区間タイプ(島しょ部で使う場合)と中距離区間タイプが1カ月と1週間から。短距離区間タイプは早ければ数日で構築可能。

 税込みの概算費用は長距離区間タイプが90万円から,中距離区間タイプが540万円から,短距離区間タイプが480万円からとなっている。費用は設計,伝送品質のシミュレーション,機器代を含むが,工費費用などは別途となる。

(山崎 洋一=日経コミュニケーション