JR西日本子会社のジェイアール西日本テクノスは3月25日,走行中の電車やバス内で乗客がインターネット接続できるようにするルーター「無線装置内蔵モバイルルータ」を,米シスコシステムズと共同開発したと発表した。今夏までには鉄道会社やバス会社向けに販売を開始する。価格は90万円以下となる見込み。

 新製品は,モバイルIP技術に対応したルーターとIEEE 802.11b/g対応の無線LANブリッジを内蔵した箱形の装置(写真)。電車やバスの車内にこの装置を設置し,さらに線路または道路沿いにおよそ500メートル間隔で無線LANのアクセス・ポイント(AP)を設置すると,車内の乗客向けにインターネット接続サービスを提供できるようになる。なおモバイルIPとは,端末が移動して接続するネットワークが切り替わっても同一のIPアドレスを使い続けられる技術のことだ。

 車内の乗客がインターネットに接続する仕組みは以下の通り。乗客は,イーサネットや無線LANなどでモバイルルータに接続する。モバイルルータは車外に設置したAPと通信し,乗客のインターネット向けトラフィックをやり取りする。走行中の列車やバスでは接続するAPを次々と切り替えることになるが,新製品はモバイルIP技術に対応しているため通信が途切れない。最高で時速120kmの走行にも対応する。