福岡県,佐賀県南部で3月20日午前に起きた「福岡県西方沖地震」による通信設備への被害は,ほとんどないことが分かった。NTT西日本は「交換機や中継伝送路への被害はない」,NTTドコモ九州は「通信設備の倒壊などの被害はなかった」という。

 固定電話は,地震直後から九州地方への発信規制や輻そうなどでつながりにくい状態が続いたが,「午後3時30分までに解消した」(NTT西日本)。携帯電話では,NTTドコモが20日15時20分まで九州地方への音声通話の発信規制を実施。福岡,久留米地区の一部地域で断続的に利用できない状態となっていた第3世代携帯電話の「FOMA」は20日21時42分に回復した。

 2004年10月に発生した新潟県中越地震では,固定電話やデータ通信の回線が数カ所で切断。携帯電話では大規模に発生した停電のため,基地局への電源供給が停止してしまった。これらの復旧には,発生からおよそ2日間を要した。

 新潟県中越地震では,固定電話や携帯電話が復旧したエリアでも朝の時間帯や大規模な余震の発生時などに回線が輻そうし,つながにくい状態となった。物流が混乱したため人手で商品を発注したり,関係各所と復旧作業を打ち合わせしたりするトラフィックが急増したからだ。

 九州地区でも,連休明けの22日午前は電話がかかりにくい状況が想定される。重要な連絡を21日中に済ませておいたり,連絡手段を電話からパソコンや携帯電話の電子メールへと切り替える必要がありそうだ。不要不急の電話連絡も避けるべきだろう。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション