3月16日に定例会見を開いたKDDIの小野寺正社長は,15日にウィルコム(旧DDIポケット)が発表したPHS定額音声サービスについて「(加入者の減少など)KDDIにはそう大きな影響はない」とコメントした(写真)。

 ウィルコム(旧DDIポケット)は5月1日から,月2900円で同社PHS間の電話がかけ放題になる「ウィルコム定額プラン」を開始する。携帯電話ではKDDIとボーダフォンが音声の定額サービスを提供中だが,いずれも法人を対象にしている。定額料金という点で競合するため,既存の携帯電話サービスに影響を与える可能性がある。

 ただし小野寺社長は「定額といってもウィルコムのユーザー同士だけ。それ以外は従量料金」という点を指摘。携帯電話サービスへの影響を少ないと見込む。

 もっとも,ウィルコムの新サービスについては「こうしたサービスを開始することでPHSの成長を継続できることは結構」と評価。ウィルコムが元々は子会社だった点などに触れながら,「今後は互いに競争が厳しくなるが,切磋琢磨することでユーザーに使いやすいサービスになれば良い」とエールを送った。

 主力の携帯電話事業は,月間の純増数が3カ月連続でNTTドコモに首位の座を明け渡している。「この差が今後も大きく開いてしまうようであれば問題だが,現状程度の差なら今の状態をさらに伸ばしていくことが重要だろう」(小野寺社長)と見通しを示した。2月末に再び純減に陥った子会社のツーカー・グループについては,売却なども含めて「早い時期に何か決断することはないと思う」とコメントした。

 固定通信事業については,2月から開始した直収電話サービス「KDDIメタルプラス」の動向に注目が集まったが,「開通数などの数字は決算時に発表したい」と沈黙を守った。

 固定通信と携帯電話の融合は着実に進めていく方針。同日,KDDIは携帯電話(au)と固定通信(メタルプラス,光プラス,マイライン,DION)の請求書を一つにまとめる「KDDIまとめて請求」を5月から提供すると発表した。auと固定通信で共通のポイント・サービスが利用可能になるほか,月額基本料が割り引きになるなどの特典がつく。