ドコモエンジニアリングは,携帯電話を企業の内線に利用できるモバイル・セントレックス用パッケージ「SIP:PKG mini」を4月に出荷する。ユーザーは,NTTドコモの無線LAN機能付きFOMA端末「N900iL」を内線通話の端末として導入できる。ターゲットは,1事業所内の端末数が最大100台までの中小規模の企業ユーザー。価格は最小構成で93万円となる見込み。ネットワーク構築などを手がける協和エクシオの東北支店が導入を決めた。

 SIP:PKG miniは,(1)N900iL同士の通話を交換するIP電話サーバー(写真),(2)固定電話の回線を収容する機能を搭載したブロードバンド・ルーター,(3)無線アクセス・ポイント――で構成する。電話機としては,N900iLのほか固定IP電話機も接続できる。

 大規模なモバイル・セントレックスを構築する場合,無線LAN区間の音声品質を確保するため,IP電話サーバーとは別に無線LANコントローラを導入するケースが多い。SIP:PKG miniでは,基本的に無線LANを音声専用に使うか,バーチャルLANで音声/データのトラフィックを分離することで音声品質を確保する。

 主な機能は,会議中などユーザーの状況を確認できる「プレゼンス機能」,リアルタイムにテキストのメッセージをやり取りできる「インスタント・メッセージ機能」,録音した音声や通話内容を伝言メモとして残せる機能など。1台にすべての機能を実装することでシステム構成を簡素化した。

 一方,IP電話サーバーの仕様は中小企業の規模に合わせて簡略化している。具体的には,1台のIP電話サーバーが処理できる同時通話数は,外線/内線を合わせて最大50通話まで。また,ブロードバンド・ルーターと連携することで固定電話回線からの外線発着信を制御する。このため,必ずブロードバンド・ルーターがつながったLANの配下にIP電話サーバーを設置する必要がある。2拠点間で内線網を構築したいユーザーは,より大規模なシステムに対応したIP電話サーバーを導入する必要がある。

 ドコモエンジニアリングは,NTTドコモが100%を出資する完全子会社。主にNTTドコモが携帯電話サービスを提供するために必要な基地局の設置工事などを手がけている。

(加藤 慶信=日経コミュニケーション