独ハノーバーで開催中の世界最大級のIT展示会「CeBIT 2005」で,韓国サムスン・エレクトロニクスが3.5世代の通信方式「HSDPA」(High Speed Downlink Packet Access)に対応した携帯電話機を公開した(写真上)。

 この携帯電話機はUMTS(universal mobile telecommunications system)やHSDPA 2.1GHzのほか,欧州のディジタル携帯電話システム方式であるGSM(global system for mobile communications),GSMネットワークに付加する高速パケット通信規格のGPRS(general packet radio service)とEDGE(enhanced data rates for GSM evolution)に対応。ブースでは端末をパソコンに接続し,HSDPA経由でパソコン上で動画を再生する実地デモも行っている。

 HSDPAは第3世代携帯電話の通信方式W-CDMAの発展形で,最大下り14.4Mビット/秒の通信速度を持つ。NTTドコモもFOMAの次期バージョンとしてHSDPAを導入する予定。変調方式の違いによって12のカテゴリーがあり,それぞれ最大速度が違う。

 今回サムスンが公開した端末はカテゴリー12に属し,下り最大1.8Mビット/秒の仕様だ。実地デモでは既に発売中のW-CDMA端末と動画の再生能力を比較。「実測で1.3Mビット/秒は出ている。来年には韓国SKテレコムなど向けに出荷したい」(説明員)という。

 なお英ボーダフォンもCeBIT会場でHSDPA端末の実地デモを行っている(写真下)。こちらの端末はカード型。ベルギー・オプティオンと仏ノヴァテルのカード型端末,独シーメンスとカナダのノーテルのネットワーク設備を使って,FTP(file transfer protocol)による実測デモを公開している。通信速度は実測で1.4Mビット/秒を記録していた。

(堀越 功=日経コミュニケーション,ハノーバー発)