ソフトバンクはグループで展開するADSL(asymmetric digital subscriber line)サービス「Yahoo! BB」の2月末における回線数を発表した。これによると2月末の回線数は475万6000。1月末から4万3000回線の増加だが,Yahoo! BBの純増数が5万を割ったのは初めてである。

 2004年7月以降の純増数は5万から7万回線の範囲で推移しており「数字自体は予想の範囲内」(広報室)という。ただ数字としては2002年8月にYahoo! BBの回線数を発表して以来最低の伸び。昨年2月の実績は11万4000回線増だった。

 純増数が5万を大きく割り込んだ理由は三つ考えられる。一つが「ユーザー獲得のリソースを固定電話サービス『おとくライン』に振り向けている」(広報室)という点。ソフトバンク・グループの主要な代理店が,日本テレコムのおとくラインのユーザー獲得に力を入れている。二つめは2月が営業日が28日しかないこと。三つめは,事業者やエリアによっては回線の純増数がADSLを上回るなど,FTTH(fiber to the home)への移行が始まっている点だ。

 毎年3月,4月は引越しシーズンのため,各社のブロードバンド・サービスとも解約率が上昇する。今年はFTTHの普及と認知が進み,移転先でFTTHを契約するユーザーが多いと見られる。ソフトバンクには,ADSLからFTTHに移行するユーザーを自社のサービスにどの程度引き止められるかといった課題がでてきた。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション