2月28日から3月2日(現地時間)にかけてロンドンで開催された固定電話と携帯電話の融合に関する国際会議「Fixed-Mobile Convergence」(主催:IIR Telecoms & Technology)には,欧州から9社,米国から1社,中東から1社など,世界各地から通信事業者が集まり,自社のFMCサービスへの考え方やトライアルの状況などを披露した。

 米国の通信事業者大手のベルサウスは,FMCサービスの実現に向けて積極的な取り組みを進めている通信事業者の1社だ。子会社である携帯事業者大手の米シンギュラー・ワイヤレスと組み,「FastForward」という固定/携帯融合サービスを既に提供している。これは,携帯電話端末を充電用クレードルに挿入すると指定した固定電話経由で受信できるサービス。着信者側にも原則的に課金される米国において,家の中では割高な携帯電話の通話料金を支払わなくて済むメリットがある。

 同社はさらに,一つの端末を使って屋外ではGSM/EDGE(global system for mobile communications / enhanced data rates for GSM evolution)経由,屋内では無線LAN経由で通話やデータ通信ができるサービスも検討していることを明らかにした。同社のワイヤレス-ワイヤライン・コンバージェンス部門でシニア・ディレクターを務めるスティーブン・バイ氏(写真)は,「2005年内に企業,コンシューマ向けそれぞれでトライアルを実施する」と語った。

 スイスで「Sunrise」ブランドで固定・携帯通信事業を提供するTDCも,「Onevoice」と呼ぶ企業向けの固定/携帯融合サービスを提供している。これは,指定した固定電話と携帯電話をグループ化し,通話料金を単一レートにするサービス。固定発携帯着,携帯発固定着など通話方向にかかわらず,1分10サンチーム(日本円に換算すると約9円)の通話レートになる。

 同社でマーケティング・ディレクタを務めるマーカス・ゴールダー氏は,「料金の一本化はFMCサービスの第1段階。今後は固定と携帯でアプリケーションを共通化したり,一つの端末で利用できるようなサービスも検討している」との考えを示した。

(堀越 功=日経コミュニケーション,ロンドン発)