富士通は3月3日,同社のネットワーク事業の現状と今後の見通しを発表した。ネットワーク事業トップの伊東千秋取締役専務は「(低価格ルーターのような)コモディティ(一般)化した分野は価格だけの競争になるため撤退していく。今後は,他社より技術的に一歩リードしている分野やシェアが高い分野に投資とリソースを集中する」と繰り返し説明(写真)。続けて,「ネットワーク事業の柱の一つであるプロダクト事業は2002年度で底を打ち回復基調にある。2007年度には営業利益を黒字に展開できる見込みだ」と述べた。

 投資とリソースを集中する分野の中で,特に強調したのが回復基調が見込める海外での展開。具体的には(1)米国の地域系通信事業者やCATV事業者への光システム納入,(2)英BTへの機器納入──である。

 (1)については「米国では,インターネット接続,IP電話,IP放送の三つを同時に提供する“トリプルプレイ”が先行し,光システムの需要は高い。米国における当社の光システムはシェア28%と一位で,米ベライゾン・コミュニケーションズや米SBCコミュニケーションズと関係が深い。相次ぐ買収劇が起きているが,光システムの需要には影響なく,2007年にはシェア30%を見込んでいる」(伊東専務)と話す。

 一方(2)については,「2008年までに電話網のオールIP化を表明した英BTには,長年ADSL関連で機器納入実績がある。オールIP化に関する機器納入ベンダーはまだ決まっていないが,当社はかなりいいポジションにいる」(伊東専務)と自信を見せた。

 また,第3世代携帯電話のサービス本格化を控える欧州にも期待感を示した。「欧州では2005年からW-CDMA(wideband code division multiple access)の投資が加速する。GSM(global system for mobile communications)で実績がある仏アルカテルと2000年から協業しており,GSMからW-CDMAにスムーズに移行できるはずだ。2007年には富士通とアルカテルで,W-CDMAの世界シェア15%を獲得する」(伊東専務)と述べた。