NTT東西地域会社と平成電電の間で話し合いが続けられてきた,IP電話サービスとの接続問題が解決したことが分かった。3月1日から接続が始まり,東西NTTのIP電話と平成電電の電話ユーザーのそれぞれの間での通話ができるようになった。話し合いが進んだのは,ここ1,2カ月の模様。

 東西NTTは2003年10月から法人向けIP電話サービスを開始した。しかし,平成電電1社だけが東西NTTの出した条件などに不満を表明し,法人向けIP電話および,その後に始めた個人向けの「ひかり電話」との接続を拒んできた。昨春には東西NTTが総務省の委員会に「仲裁」を申し出ていた。

 平成電電が問題にしていたのは,東西NTTのIP電話への接続料水準。通常の加入電話と比べて,東西NTTのIP電話に対する接続料が2倍以上になるからだ。通信事業者が自社の電話網をユーザー回線を収容する加入者交換局(GC局)につないでいる場合に起こる。直接の理由は,既存の電話番号を新たな電話でも使い続ける,いわゆる「番号ポータビリティ」の仕組みと制度だった。これを東西NTTのIP電話のユーザーが使うことで顕在化した。

 ただ,「この番号ポータビリティの接続料問題を解決する方向で事業者間の技術的な話し合いが進みつつある」(平成電電広報)。また,「新しい直収サービスでIP電話を提供するなど,ユーザーの利便性を考えればいつまでもつながないわけにはいかない」(佐藤賢治代表取締役)として,平成電電が方針を転換した。

 3月1日,事業計画の発表会見に臨んだNTT東日本の三浦惺社長は「問題となっていた平成電電とは接続することとなった。法人向けIP電話サービスを大規模ユーザーだけでなく,中小ユーザーにも積極的に売っていきたい」と安堵の表情を見せた。中小企業は平成電電が得意とするマーケットであるため,東西NTTのIP電話サービスを導入すると中小企業同士では相互に通話しにくくなってしまう点が,東西NTTとっては悩みの種だった。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション