神奈川県横須賀市のNTT横須賀研究開発センタで2月24日,「NTT R&Dフォーラム2005」が始まった。2月24日,25日の2日間にわたって開催する。

 NTT R&Dフォーラム2005のテーマは「ひろがるレゾナントコミュニケーションの世界」。“レゾナントコミュニケーション”とは,FTTH(fiber to the home)を中心としたブロードバンド環境で,個人や企業などあらゆるものが,いつでもどこでも誰とでも双方向通信が可能になるコミュニケーション形態を指したNTTグループの造語。フォーラムでは,NTT持ち株会社配下にある複数の研究所の技術開発にかかわる最新動向が,展示やワークショップで披露されている。

 NTT持ち株会社は,昨年同時期にもR&Dフォーラムを開催した。テーマにレゾナントコミュニケーションを掲げている点は昨年と同じだが,昨年多用していた「RENA(resonant communication network architecture)」という言葉は,今回は一切出てきていない。

 RENAは,レゾナントコミュニケーションを実現するネットワーク・アーキテクチャのことで,これもNTTグループの造語。NTT持ち株会社が2002年11月に発表した「“光”新世代ビジョン」構想の中で登場した。しかしNTT持ち株会社が2004年11月に新たな固定電話網のIP化構想「光・IP化計画」を発表し,これを境にRENAという言葉は表に出てこなくなっていた。

 RENAには,NTTグループのプロバイダ統合網といったイメージがある。一方,光・IP化計画で打ち出した次世代ネットワークは,いずれは6000万に上る固定電話ユーザーを収容する広範囲なIPネットワークを意味する。NTT持ち株会社によれば,「RENAはネットワーク・アーキテクチャそのもので技術的な側面が強かった。RENAを具現化した次世代ネットワークを発表した今,RENAという言葉を使い続けると,RENAが次世代ネットワークよりも小さくクローズしたものとの誤解を与えかねないため使わなくなった」という。RENAという言葉は,どうやらお蔵入りしたようだ。

(山根 小雪=日経コミュニケーション