総務省は2月22日,電話番号の制度や運用について議論する「IP時代における電気通信番号の在り方に関する研究会」の第2回会合を開催した。今回の会合では,電話番号の現状の問題や今後予想される課題について議論された。

 東京大学大学院の相田仁教授によるプレゼンテーションでは,これまで電話番号が担っていた役割が崩壊しつつあることが指摘された。電話番号はもともと,ネットワーク上のあて先を識別するためのものだが,その他にも(1)サービスの種類,(2)料金,(3)場所,(4)通信品質などの目安を把握する役割も担っていた。電話番号が「080」で始まっている場合は相手が携帯電話,「03」の場合は相手が東京にいるなどだ。

 ところが,このような状況が変わりつつある。例えば,(3)は既に破綻している。NTT東西地域会社が提供する「ボイスワープ」や「支店代行電話」といったサービスを利用すれば,神奈川県にある会社が「03」で始まる電話番号を利用することが可能。(2)に関しても,今後距離による料金格差が,事業者間の格差よりも小さくなる可能性がある。他社通信事業者への市内通話料金よりも同一通信事業者の市外通話料金の方が安い場合が出てくるのだ。現状の電話番号のあり方について見直す時期が来ているとした。

 このほか,研究会の座長を務める東京大学の齊藤忠雄名誉教授によるプレゼンテーションでは,今後普及が予想される固定通信網と移動通信網を融合したFMC(fixed mobile convergence)サービスにおける課題が指摘された。例えば,FMCサービスが提供されるようになると,同じ電話番号にかけても実際に接続されるまで固定電話と携帯電話のどちらにつながるか分からない。接続ごとに料金や品質も同一であることが望まれる。

 また「携帯電話は番号を公開したがらない人が多いし,固定電話は番号を家族と共用しているので追跡が難しい。FMC用の個人電話番号が必要になる」(齊藤名誉教授)。家庭や携帯,会社,FMC用で複数の電話番号を持つことになるので,電話番号の枯渇対策が不可欠になる。さらに,個人用と会社用で支払いを分けたり,立場によって利用する電話番号を使い分けたりするニーズも予想され,利便性も含めた対策の検討が必要とした。

 次回の会合からは,論点を絞った上で議論を重ねていく。なお,同研究会は,大学教授や通信関連団体などの有識者,通信事業者,機器ベンダーなどが参加しており,2005年6月をめどに結論を出す予定である。