沖電気工業や三菱電機,村田製作所,ルネサス テクノロジなど10社は2月23日,近距離無線通信規格「ZigBee」の普及促進に向けて業界団体「ZigBee SIG ジャパン」(仮称)を設立すると発表した。2005年夏をめどに正式に発足させる。

 近距離無線通信規格としてはすでにBluetoothの製品化が進んでいるが「徹底的な低消費電力とコストの安さを武器に,産業センサー用途などで必ず伸びる技術」(理事長を務める三菱電機情報技術総合研究所の稲坂朋義・ユビキタスネットワークシステム部センサネットワークチームリーダー)と,団体発足を機に日本市場での認知度を高めていく考えだ。

 ZigBeeは,主に2.4GHz帯の周波数を利用し,半径数十mで最大250kビット/秒の無線通信を実現する規格。同じ2.4GHz帯を使う無線LANやBluetoothよりも通信速度は遅いものの,「バッテリが半年から2年は持つ」(ルネサス テクノロジの坪井務・事業戦略統括部ネットワークプロジェクト担当部長)。また,数十m四方で最大6万4000の端末を制御できるという。こうしたことから,家庭での空調機や照明器具のリモート監視,ビルのセキュリティ・システムや,リモート制御などの産業用途を想定している。

 無線通信技術には世界標準規格の「IEEE 802.15.4」を利用し,業界団体のZigBeeアライアンスがネットワーク仕様の標準化を担当。2004年12月に正式仕様を策定したことで,各メーカーの本格的な量産体制が整った。同団体には世界の通信機器や半導体などメーカー120社以上が加盟している。

 ZigBee SIG ジャパンは当初,ZigBeeアライアンス本体に参画しているChipcon ASジャパン,NECエンジニアリング,OTSL,沖電気工業,新光電気工業,フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン,三菱電機,村田製作所,山武,ルネサス テクノロジの10社で構成。日本でのZigBeeの普及促進のほか「日本市場に合わせたZigBee仕様を,ZigBeeアライアンスに対して提案する」(ルネサス テクノロジの坪井担当部長)などの活動を予定している。