マカフィーは,企業向けのスパイウエア対策ツール「McAfee Anti-Spyware Enterprise」を3月に出荷開始する。同社の企業向けウイルス対策ソフトを導入済みの顧客に,価格と機能の両面でアピールできる製品だという。能地將博・マーケティング本部マーケティング部部長代理(写真)に,マカフィーが提供する最新のスパイウエア対策機能について聞いた。

──従来のマカフィー製品もスパイウエア対策機能を搭載していたが,今回のAnti-Spyware Enterpriseの機能強化ポイントを教えて欲しい。

 「VirusScan Enterprise 8.0i」といった従来の企業向けウイルス対策製品でも,我々が「PUPs(Potentially Unwanted Programs)」と呼んでいる不審なプログラムを定義ファイルを基に見つけて削除できた。スパイウエアもある程度これで対処できていた。
 一方,新しいAnti-Spyware Enterpriseには,(1)レジストリのスキャン,(2)クッキー・ファイルのスキャン,(3)プロセスを止める機能──の3機能を加えている。これらの新機能は,スパイウエアがパソコンに入り込んでしまった後の対処に必要だ。レジストリに情報を書き込んだり,メモリーに常駐するスパイウエアもあるからだ。定義ファイルで検出できるプログラムの数も増やしている。2004年8月には200~300個だったが,2005年1月には約3000個になっている。

──他社と比較して,マカフィーのスパイウエア対策ツールのアピール・ポイントは何か。

 Anti-Spyware EnterpriseはVirusScan Enterpriseのアドオン・プログラムである点に注目してほしい。ウイルスとスパイウエアの境界があいまいなことがあるが,両方導入していることでブロックできる。
 企業ユーザーにとっては,こうしたソフトウエアを管理することも必要だ。マカフィーは「ePolicy Orchestrator」と呼ぶツールを使ってAnti-Spyware Enterpriseも一元管理できる。スパイウエア対策ツール用の管理ソフトを,別途用意する必要がない。
 価格も,ユーザー企業にヒアリングを実施して,既存のMcAfee VirusScanの25%で購入できるところを目指した。購入ユーザー数が多いほど安くなる価格体系を採っているが,最も高い「ノード数1~25」のケースでも1ユーザーあたり年間1980円だ。

──それだけスパイウエア対策の必要性が増しているということか。

 先進的な企業ユーザーはスパイウエアに敏感であるよう感じる。スパイウエアの一種であるアドウエアがパソコンに入り込んでしまい,OSの再インストールを余儀なくされたという話は日本でも耳にする。2004年にマカフィーに報告された不審なプログラムのトップ10に,2種類のアドウエアが名を連ねている。今後ますますスパイウエア対策は重要になっていくだろう。

(山崎 洋一=日経コミュニケーション