東日本旅客鉄道(JR東日本),NTTドコモ,ソニーの3社は2月22日,非接触IC対応携帯電話向けの電子マネー・サービス「モバイルSuica」を2006年1月に開始すると発表した。ソニーが開発した非接触ICチップ「FeliCa」を搭載した携帯電話機で,電車運賃の支払いや店舗での買い物などが可能になる。商用化に先駆けて,2005年3月からモニター限定のフィールド実験を実施する。

 モバイルSuicaでは,ユーザーはモバイルSuicaのJavaアプリを,あらかじめFeliCa搭載携帯電話に導入。この端末をJR東日本の駅の自動改札機や売店にある読み取り装置にかざすことで,運賃の支払いやキオスクなどでの商品購入が可能になる。通常のSuicaとの違いは,iモード網経由で電子マネーのチャージや定期券の購入ができる点。携帯電話機の画面で,電子マネー残高や使用履歴の照会が可能な点も通常のSuicaとは異なる。さらに2007年には,インターネット上のショッピング決済や新幹線の指定席券購入などの新機能を追加する予定である。

 利用できるFeliCa対応端末はフィールド試験を通じて検証していくが,第3世代携帯電話サービス「FOMA」の900iCシリーズおよび901iCシリーズなどを想定している。

 JR東日本は,NTTドコモがFeliCa搭載携帯電話を発表した2004年6月に合わせてモバイルSuicaの提供計画を明らかにしていた。今回の発表ではスタート時期を具体化するとともに,同社の大塚陸毅社長,NTTドコモの中村維夫社長,ソニーの安藤国威社長が記者会見に出席してこのサービスへの注力ぶりを強調(写真上)。また記者会見の会場には,Suicaのイメージ・キャラクタである西原亜希さんも登場してモバイルSuicaの利便性をアピールした(写真下)。

 ただしFeliCa搭載携帯電話を使った電子マネー・サービスでは,ビットワレットの「Edy」が2004年7月からスタートして先行している。JR東日本は「Edyに比べるとSuicaの取り扱い店舗はまだまだ少ない。交通機関で利用できる利便性を強く訴えかけてEdyを追い上げたい」(大塚社長)としている。なお,JR東日本はNTTドコモだけでなく「他の携帯電話事業者とも協力してモバイルSuicaを提供していく」(大塚社長)方針。すでにKDDIがモバイルSuicaへの対応を表明している。