CATV統括会社のジュピターテレコム(J-COM)は,既存の同軸ケーブルを利用した最大伝送速度100Mビット/秒以上のインターネット接続サービスを2005年中に開始する。

 J-COMが導入するのは,米エントロピック・コミュニケーションズ社の「C-LINK」という通信技術を採用したモデム。宅内の同軸ケーブルを使って,上り下りを合わせて最大270Mビット/秒の伝送ができる。ただし,270Mビット/秒は理論値であり,「実効速度は170Mビット/秒程度。下り100Mビット/秒,上り70Mビット/秒というように割り振ってサービスを提供する」(J-COM 技術統轄部長の山口舜三取締役)。

 実験は,グループのCATV事業会社ジェイコム東京が昨年11月から今年の1月まで実施。現在のところ,下り50M~60Mビット/秒の実効速度が得られている。この実験ではユーザー宅のエリアの近くまでは光ファイバを使って伝送し,その先は既存の同軸ケーブルを使った。多くのCATV事業者が採用している,いわゆるHFC(hybrid fiber coax)方式である。実際のサービスでも同様の構成となる見通し。国内では既に松下電器産業がC-LINKの実験に取り組んでいる。今回J-COMは住友電気工業と東芝の合弁会社,ブロードネットマックスと共同で実験を実施した。

 J-COMはハード・ディスクにコンテンツを蓄積して視聴する,レコーダー装置内蔵の セットトップ・ボックスを「日米韓のメーカーに発注済」(森泉知行代表取締役社 長兼最高経営責任者)だという。100メガ超のサービスとともに,通信事業者のFTTH(fiber to the home)サービスへの対抗手段として投入する。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション