イー・アクセスは2月10日,米ルーセント・テクノロジーおよび富士通と共同でW-CDMAによる第3世代携帯電話サービス(3G)の実証実験を実施すると発表。併せて今後の予定やサービス,料金体系の一部を明らかにした。

 実証実験は1.7GHz帯を利用し,電波の伝搬試験やW-CDMAの基本機能や性能の確認試験,最大14.4Mビット/秒の通信速度を実現する「HSDPA」(high speed downlink packet access)の確認試験などを実施する。またメールやWeb閲覧などの携帯電話上で実現する主要なアプリケーションについても動作確認を行う。

「フルブラウザ定額は当然」

 今後は総務省による技術基準などの策定を経て免許人の公募となるが,「携帯電話の番号モータビリティの始まる2006年度中に参入したい。作業が遅れないようにしてほしい」(千本倖生・代表取締役会長兼CEO=写真上)と希望した。目標シェアは10%。「決して高い目標とは思わない。ADSLでも10数%のシェアは獲得できた」(千本会長兼CEO)と自信を見せる。

 サービス・エリアは「5年以内に人口カバー率95%以上を目指す」(種野晴夫・代表取締役社長兼COO=写真下)。以前は他事業者とのローミングで早期に全国をカバーするとしていたが,「ローミングはできたらいいが,自力でネットワークを作りたい」(種野社長兼COO)とサービス開始直後の全国展開についてはトーンダウンした。

 料金は,音声では既存事業者の半額,データ通信では定額制を目指す。データ通信については,「端末での定額はもちろん,パソコンからの定額接続もやりたい。トラフィックの問題などは技術部門が検討中だ」(種野社長兼COO)とした。同社の端末は,一般のインターネット上のWebサイトも閲覧できるフルブラウザの搭載を計画している。現在,フルブラウザやパソコンの接続で定額料金はPHSのみ。新規参入希望者を含めても,携帯電話事業者では初の試みとなる。音声定額については,「他事業者との接続では難しいが,自社網内に閉じた通信は考えられる」(種野社長兼COO)。

 料金を低廉化できる根拠について,千本会長兼CEOは「3Gは欧州や中国で大量に使われており,機器コストが下がっている。我々が参入する2006年度ならば技術も枯れてくるはず」と説明。また種野社長兼COOは,端末インセンティブや人件費も圧縮して音声料金の半額化を実現するとした。

 バックボーン・ネットワークはフルIPとなる見込みだ。無線区間のVoIP(voice over IP)については「現時点では開発費などから見合わせた」(種野社長兼COO)。

 また記者会見の席上,千本会長はソフトバンクへのライバル心をむき出しにした。「ソフトバンクの求めている800MHz帯の割り当ては非現実的」,「ある会社のように数十%のシェアを取りながら赤字を垂れ流す経営をするつもりはない」など幾度となくソフトバンクを挑発する発言を繰り返した。