ソフトバンクの孫正義社長は2月9日,決算発表の席上でグループ傘下の日本テレコムが展開する固定電話「おとくライン」の開通状況について初めて明らかにした。

 孫社長によれば,昨年10月から2月7日までの実績で受注数が86万回線,このうち開通済みが12万回線(写真)。また,東西NTTの700の局舎で利用できることを明かした。受注と開通回線の差し引きでは74万回線の受注残がある計算だが,「うち半分は回線の名義人が確認できないなどで,回線の開通まで至らない可能性がある」(孫社長)のだという。

 800MHz帯での参入を目指す携帯電話については,2月8日に総務省が明らかにした周波数割り当て方針案に猛反発。「3万2851通ものパブリックコメントが集まり,そのうち97%が我々に賛成している。にもかかわらず原案通りの決定がなされるようであれば,考えたうえでいろんなアクションを起こしたい」(孫社長)と強い口調で訴えた。

 なお,同日発表した2004年10月から12月までの第3四半期決算は,グループ連結で売上高が2580億円,営業損益が75億円の赤字。当期損益は265億円の赤字である。今回の決算では,おとくラインの局舎設備への投資や顧客獲得費用のコストが重くのしかかった。

 会計上の営業損益は75億円の赤字であるが,「おとくラインへの先行投資分を差し引くと99億円の黒字になる」(孫社長)との計算を披露。孫社長が以前からADSLで提示していた「顧客獲得コスト考慮前利益」の“おとくライン版”と言える。

 なお,昨年10月に開始したFTTHサービスの「Yahoo! BB光」については「サービス手法などを手探りしているところ」(孫社長)として開通数などの明言を避けた。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション