「次世代IPインフラ研究会 IPネットワーク ワーキンググループ(WG)」の第2回会合が2月4日,総務省で開かれた。今回は,VoIP(voice over IP)網の相互接続性に関する課題が発表された。このほか,次世代IPネットワークで求められる通話品質や機能に関する論点もまとめられた。

 会の冒頭ではまずパワードコムの塚本博之専務執行役員が,電話網がオールIP化される場合の課題を発表。問題として挙げたのは,(1)異なる事業者間や端末間の相互接続性の確保,(2)セキュリティの確保と相互接続性の両立,(3)エンド・ツー・エンドの品質確保,(4)事業者間の料金精算のやり方,についてである。

 こうした問題への対処法として塚本専務執行役員は二つの案を披露。一つは,相互接続のために仕様を厳格にした「相互接続用SIP(session initiation protocol)」やセキュリティ基準,品質基準を,日本国内で独自に規定してしまう案。ただ,こうした対処法は,「標準化した相互接続用SIPが日本独自仕様となる可能性が高く,海外ベンダーが対応せず,対応してもコスト高になる」といった懸念があることを同時に述べた。

 もう一つの案は,まずVoIP網同士の接続を進めてしまい,実際の運用を通じて課題を解決していく方法。「例えば,パワードコムとNTTコミュニケーションズのVoIP網の直接接続してしまい,運用しながら噴出する問題を解決し,対処法をノウハウとして蓄積していくやり方もあるのではないか」(塚本専務執行役員)。

 パワードコムのVoIP網は,KDDIや日本テレコムなどのVoIP網とはSIPサーバーのメーカーが同じであるため直接接続している。しかしNTTコミュニケーションズのVoIP網とは,SIPサーバーのメーカーが異なり相互接続が難しいため,加入電話網経由の接続となっている。「議論だけしていてもまとまらず,時間だけが過ぎていく可能性もある。(実際の運用を通じて課題を解決していく)この対処法であれば,得られるノウハウを海外ベンダーに伝えることなどで,海外ベンダーが日本仕様に対応する可能性も高くなる」(塚本専務執行役員)。

パワードコムも固定電話網をIP化へ

 またパワードコムは,「東京電話」で使っている固定電話網を撤廃して,VoIP網に一元化する計画を進めていることも明かした。「遅くとも2007年度中には,固定電話網のIP化を終えたい。しかし実際には,もっと時期を早められるようにする」(塚本専務執行役員)という。

 このほか,ケイ・オプティコムが電話サービスを提供する場合のIPネットワークの課題,沖電気工業がIP電話の通話品質評価の標準化動向と課題について発表した。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション