置き忘れや車上荒らしなどでノート・パソコンを紛失し,個人情報が漏洩してしまう事件が相次いでいる。そうした事態を防ぐためにNECテレネットワークスが開発した製品が,ディスクレスのノート・パソコンだ。OSやアプリケーションをROM化し,データはRAM上に記録する。電源をオフにするとデータは完全に消えてしまうので,紛失してもデータを盗まれることがない。SSL-VPNやIPsecなどを利用して社内ネットワークにアクセスし,その都度,データを参照/RAMに保存するといった利用形態を想定している。

 同社のブースに展示してあるノート・パソコン(写真)はPentium M(1.4GHz)を搭載した台湾ASUS製で,Windows XP Professionalを搭載している。ただし,「要望があれば提供可能だが,展示したものを販売するわけではない。NEC製のノート・パソコンをベースにした製品を,今年5月ごろまでに正式にリリースする予定」(多田義行・ビジネス推進本部主任)である。その製品では,ROM化するアプリケーションを選択できるようにする。価格は,「1台当たり30万円程度」(同氏)とやや高めになる見込みだ。

 なお,ディスクレス・ノート・パソコンは,「ウイルスに感染してしまってもデータを書き換えられることがないので,再起動すれば元に戻る」(多田主任)といったメリットを提供する半面,アプリケーションの追加や変更などは容易にできないというデメリットがある。ROMの焼き直しは,「5台でも100台でもさほど差はなく,40万円くらい」(多田氏)という。

(榊原 康=日経コミュニケーション)