富山県舟橋村は1月27日,NTT西日本が村内全域で「Bフレッツ ワイヤレスファミリータイプ」の提供を始めたことを受け,記念セレモニーを開催した。Bフレッツ ワイヤレスファミリータイプは,ラスト・ワンマイルに無線通信(FWA)を使うFTTHサービスである。自治体の全域をカバーする提供形態は全国初だという。

 舟橋村は富山市に隣接する人口2600人,面積3.47平方キロメートルの村である。今回のサービス提供にあたって,村内3カ所に「基地局装置」(写真上)を設置。ここと加入者宅の間は26GHz帯を使って無線伝送する。伝送可能距離は基地局を中心にして半径800メートル,実効通信速度は下りが最大46Mビット/秒,上りが最大32Mビット/秒である。

 これまで同村では,ブロードバンド接続サービスが提供されていなかった。一部地域では隣の立山町の局舎で提供中のADSLを使えたが,局舎から5キロメートル以上あり速度が出ないケースが多かったという。村はこれまでCATVやADSLのサービス提供を目指し,事業者などに働きかけたが実現しなかった。CATVの補助事業は村の立地条件が良いため後回しになってしまい,補助がおりなかった。ADSLはRT(remote terminal)の横にADSL装置を置くスペースがないといった理由で断念した。

 一方で住民のブロードバンドに対するニーズは高い。昨年10月に実施したアンケートで,村は“インターネット利用数は390程度,Bフレッツには120件程度の申し込みがあるだろう”と予想していたが,実際には約130件の申し込みがあった。

 セレモニーでは金森勝雄村長が「村民ともども喜んでいる」と挨拶。「今後の村づくりに生かしていきたい」と述べた。続けてNTT西日本富山支店の亀井公顯支店長が「去年の秋口にBフレッツの無線タイプが実現するらしいと聞いてすぐ大阪に飛んでいき,11月から具体的な話を進めてきた。何とか1月に提供することができ,村の協力と熱意を伝えてもらったことに感謝している」と祝辞を述べた。

 地元の小学生は作文を披露。「今まで学習の際にみなで一斉に使うとなかなかサイトが開かずイライラすることもあったが,これで学習がスムーズに進むと思うと,とてもうれしい。学校の様子などを他校や祖父母にも情報として送れる」といった利活用の抱負を読み上げた。

 テープカット(写真下)の後で,会場にパソコンを設置してBフレッツで動画を再生する体験会を実施した。「感心した。動画も鮮明で音声も聞けてこれぞという感じ」(金森村長)。NTT西日本富山支店の亀井支店長は「富山の整備水準を上げていきたい。ブロードバンド環境がどこにでもあることが大事だと思う」と抱負を語った。

(山崎 洋一=日経コミュニケーション