総務省は過疎地域などにおける携帯電話の通じない「圏外エリア」解消を加速する。現在進めている携帯電話基地局を整備するための資金補助事業を強化。「デジタル・デバイド解消の一環」(総務省総合通信基盤局電波部移動通信課)として,10年程度かかると見込まれていた期間が,5年程度まで短縮する見通し。

 従来は,補助の対象を鉄塔や局舎,第2世代/第3世代の通信機器,同一市内における中継用光回線の敷設費用としていた。これに2005年度から回線交換局と携帯電話の基地局をつなぐ中継用光回線の利用料金の補助を追加する。ただし,両方の補助を同じ基地局で同時に受けることはできない。

 どのエリアに基地局を整備するかは,市町村など自治体からの要望を元に国や携帯電話事業者などが判断する。現段階では「約500件の要望が上がってきている」(移動通信課)という。2004年度は53件の設備に適用されており,単純計算で要望の解消には10年かかる状況だった。これに対し,回線利用料金への補助を加えることで整備を倍速化する。もっとも,要望のない場所にもユーザーがいる可能性があり,圏外エリアが100%解消するわけではない。

 なお設備に関しては,国が半分,都道府県が5分の1,市町村が10分の3,市町村分のうち6分の1を事業者が負担する。新たに加える回線利用料金は国が10年間に渡って利用料金を半額補助する。回線利用料金の補助は,ユーザーなどから徴収した電波利用料の新たな用途として打ち出した。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション