KDDIの小野寺正社長は1月27日,傘下の携帯電話事業者ツーカー・グループの売却について「すぐに売ろうという状態ではない」,「可能性としては排除していないが,2000億円は安いのでは」と発言した。同日都内で開いた2004年10~12月期の決算発表会場で記者団の質問に答えたもの。

 ツーカー・グループを巡っては1月15日,「ソフトバンクがKDDIに2000億円で売却を打診」との報道が駆け巡った。小野寺社長の発言はこの報道に対する見解である。半分は冗談だがと前置きをしたうえで「5000億円なら売却する」とも言い,明確な方針について言及を避けている。

 2月1日に開始が迫る直収の固定電話サービス「メタルプラス」については「予定通りの営業状況だが,競合も明かしていないので数字については発表しない」(小野寺社長)として,日本テレコムの「おとくライン」への対抗心をのぞかせた。「携帯電話との連携サービスを検討している」(同)ことで,おとくラインとの差異化を図っていく。

 決算については2004年の4月から12月までの累計で,連結売り上げが前年同期比4.3%増の2兆1943億円,連結営業利益が3.3%増の2424億円となった。このうち携帯電話のau事業は,売り上げが15.5%増の1兆5372億円,営業利益が12.9%増の2139億円と好調を維持。また,ツーカー事業の営業利益は142億円。au事業と合わせて携帯電話の関連事業がKDDIの利益のほとんどを稼ぎ出している。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション