シトリックス・システムズ・ジャパンの大古俊輔社長は1月26日,就任後初めて会見を開き,2005年度の事業計画を発表した(写真)。シンクライアント・ソフトウエアである「MetaFrame Presentation Server」を中心とする,クライアント端末からサーバーへのアクセス・インフラ市場の拡大と,市場で確固たる地位を築くことなどを目標とした。

 同社が売上高拡大の“追い風”と考えているのは,個人情報漏えい対策ソリューションの需要。シトリックスのシンクライアント・ソフトウエアの利用により,データベースなどの重要情報もサーバー側で一元管理ができるようになる。つまり,端末は情報を閲覧するだけなので端末側に情報が残らない。仮に,社外でノート・パソコンを紛失しても個人情報漏えいを防げるというわけだ。「情報漏えいを心配して,ノート・パソコンの社外持ち出しを禁止する企業が出てきたが,外出先でノートPCを使える営業担当者とそうでない営業では,業務効率や情報活用で差が出てくる。シトリックス製品により,社外に持ち出せるパソコンを容易に実現できることを訴求していく」(大古社長)と主張した。

 また同社は,VoIP(voice over IP)とシンクライアントを組み合わせるソリューションにも注力する。シンクライアントでは,アプリケーションの利用やデータ処理はサーバー側で実行。端末側に表示されるのは画面の差分情報だけなので,実際に流れるデータ量は小さくなる。「シンクライアントでデータ通信に使うアクセス回線の帯域を節約し,余った分をVoIPで使う,というユーザーも出てきた。VoIPとの統合ソリューションを提供できるように大手ネットワーク・インテグレータとの協業も進める」(大古社長)という。

 大古社長は,日本IBMでシステム・エンジニアを務め,ソフトウエア技術関連部門の責任者を歴任。1月1日付けでシトリックス・システムズ・ジャパンの社長に就任した。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション