長野県は12月21日,県立こども病院にテレビ電話を導入し,入院患者と自宅の家族間のコミュニケーションに活用すると発表した。24日から運用を開始する。「子供向けに専門性が高い医療を行っているため,遠隔地から入院する患者が多い。そのためお見舞いがしづらいケースがあった」(長野県企画局情報政策課)との理由から同病院での導入を決めた。

 患者の家族が用意するものはインターネット接続用のブロードバンド回線だけでいい。病院側が貸し出すテレビ電話用の端末を接続して利用する。当初は病院側に10台の端末を備え付け,10台を貸し出し用とする。

 利用するにあたって,パソコンは必要ない。テレビ電話端末のビデオ出力をテレビと接続するだけで使うことができる。「1.5Mビット/秒の帯域があれば,テレビ放送と同等の画質」(情報政策課)。テレビ電話端末の間は相手のIPアドレスを指定し,Peer to Peerで直接接続する方式。ユーザーのニックネームとIPアドレスを変換するディレクトリ・サーバーを使うことで,IPアドレスを動的に割り当てるインターネット接続サービスの環境でも利用可能。

 他の病院への展開については「こども病院での成果を見ながら検討していく。手話が必要な方のコミュニケーション手段としても考えている」(情報政策課)。また,こども病院では,病院内の医師と在宅療養中の患者,病院内の学級教室と病室から出ることができない患者それぞれの間を結ぶことにも活用する。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション