ソフトバンクBBの孫正義社長は12月21日記者会見し,「NTTグループが求めている光ファイバの開放義務撤廃はすべきでない」と主張した(写真)。

 NTT持ち株会社やNTT東西地域会社は現在,敷設した光ファイバの原価を公開した上で,東西NTTが使うのと同じ条件で他事業者に貸し出す義務を負っている。この規制に対しNTTグループは「電話時代とは競争環境が変わった」として,規制撤廃を求めている。

 孫社長は「NTT持ち株会社の和田紀夫社長が最近,光ファイバの開放義務撤廃をあちこちで発言するようになっている。その主張に反論させて欲しい」と会見の意図を説明。「ADSL(asymmetric digital subscriber line)は,開放ルールがあったからこそ競争が進み,サービスが普及した。FTTH(fiber to the home)でも当然,サービス進展のためには開放ルールが必要」(孫社長)。「そのルールを和田社長はひっくり返せと言う。これではNTT独占の時代に逆戻りしてしまう」と訴えた。

 孫社長はNTTグループが開放義務撤廃の理由として挙げている主張を一つ一つ挙げ,反論した。例えば,「NTT以外にも提供事業者が存在しているため,設備のボトルネック性はない」という主張には,「国民の負担によって築いた設備を利用することで,有利にファイバの敷設を進めているのは明らか。民営化後も,独占状態にある基本料を基礎として光ファイバを敷設している」と反論。「電柱や管路も公平に利用可能と言うが,実態はほど遠い」(孫社長)と批判した。

 孫社長は「NTTだけが投資リスクを負うのはおかしい」という主張についても,「理解できない」と一蹴。「総務省は,光ファイバの予測需要が大幅にかい離した場合は接続料を見直すとしている。需要がない場合には料金を変更しても良いと国が認めている。投資リスクなどそもそもない」と切り捨てた。「光ファイバの現在の提供価格は採算割れ」とのNTTの主張にも「現在の提供価格は7年間の平均コストから算出したもの。途中までは原価が価格を上回るのは当然」と声を荒げた。