京セラは12月20日,最大1Mビット/秒で通信可能な次世代無線通信システム「iBurst」の実験を開始した。実験を通じて,通信事業者が2GHz帯の携帯電話サービスにiBurstを採用するよう働きかける。商用化に関しては,「サービス提供はiBurstを採用する通信事業者が担う。京セラ自身が通信事業者となる予定はない」(京セラ)とする。

 「2GHz帯の携帯電話サービス」とは,第3世代移動通信システム「IMT-2000」のうちTDD(time divison duplex)方式によるサービス。ソフトバンクやアイピーモバイルがTD-CDMA(time division-code division multiple access)方式で,イー・アクセスがTD-SCDMA(MC)(TD-synchronous CDMA multi career)方式での参入を検討している。TD-CDMAは国際的に決められたIMT-2000の標準規格だが,iBurstとTD-SCDMA(MC)はデータ通信に特化した独自規格だ。

 今回の実験の狙いは,通信事業者へのPRとVoIP(voice over IP)による音声通話の実証。さらなる高速化に向け,電波特性やスループットなどの測定評価も実施する。実験で使用する周波数帯は2005.3125M~2009.6875MHz。実験局免許の取得日は12月16日。有効期限は1年間である。

 iBurstは,1基地局がカバーするエリア内では最大伝送容量24Mビット/秒を実現する。実際の通信では複数ユーザーの同時接続を確保するため,1ユーザー当たりの通信速度を1Mビット/秒に制限する。システムが占有する帯域幅は5MHz。多元接続方式にTDMA(time division multiple access),復信方式にTDDを採用しておりPHSと似た技術仕様だが,互換性はない。2004年3月にオーストラリアで商用サービスが開始している。