総務省は12月17日,「次世代IPインフラ研究会 IPネットワークワーキングWG」の第1回会合を開催した。IPネットワーキングWGは,セキュリティWGとともに,次世代IPインフラ研究会に設置されたワーキング・グループ。通信事業者や通信機器メーカーの代表など20人で構成し,次世代IPネットワークに必要な品質やセキュリティ,相互接続性などについて議論する。

 第1回目の会合ではまず,固定電話網のIP化を宣言したNTT持ち株会社とKDDIが,それぞれの計画をプレゼンテーションした。NTTは,加入電話網を代替する次世代ネットワークの目標基準の案として,アナログ固定電話並みの(1)通話品質,(2)接続品質(3)安定品質――を確保する考えを表明。具体的な実現手法としては,それぞれ(1)通話ホップ数の限定やアクセス回線の収容部分,中継部分のノードに品質監視機能を搭載,(2)呼損率を考慮したノードの配分,(3)ノード単体の信頼性向上だけでなく伝送路の2ルート化――を一例として紹介した。

 その後の質疑応答では,今回の議論の対象となる「IPネットワーク」の定義について,構成員間の意識の不統一が表出した。「『IPネットワークWG』という名称にもかかわらず,話がVoIP(voice over IP)に偏りすぎている,IP電話はIPネットワークのアプリケーションの一つ」といった意見が出されたのだ。

 これに対してパワードコムの塚本博之専務執行役員は,「数回の議論しかできないので,VoIP網の相互接続性をどうするかという問題を最重要課題として議論すべき」と意見表明。NTT持ち株会社の橋本信取締役もこれに同調した。構成員間の意見は一部食い違っているものの,時間が限られているため今後はVoIP網の品質やセキュリティ,相互接続性の議論が中心になる可能性が高い。

 IPネットワークWGは2005年6月まで,7回の会合を開く。次回の会合は,2005年1月下旬から2月上旬に開催される予定だ。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション