ソフトバンクBBの孫正義社長が同社のIP電話サービス「BBフォン」関連の新たな特許を出願していたことが本誌の調査で分かった。BBフォンの肝とも言えるNTT回線へのう回機能の特許で,出願は2003年3月20日。先々月の10月14日に一般に公開されていた。孫社長は従来からIP電話のう回機能について出願していたが,今回はBBフォンに合わせて,より具体化したものと言える。

 出願した特許の名称は「通信路設定方法及び通信路設定システム」(公開番号は特開2004-289486)。ユーザーへの着信時にADSL(asymmetric digital subscriber line)モデムのIP電話機能が稼働していないときはNTT網経由で通話。その逆にユーザーから発信する際に,ネットワーク側のIP電話サーバーが稼働していない場合はNTT網を経由するというもの。NTT網は公衆電話網(PSTN)を利用する。

 ソフトバンク・グループはIP電話関連の特許を多数出願している。本誌の調査では,今回の出願でソフトバンクによるものが9件,ソフトバンクBBが4件の合計13件となった。 ほとんどが両社の社長である孫氏の出願である。孫社長は昨年11月,本誌に対して「(IP電話関連で)数十件の特許を出願している」と明らかにしており,このほかにも出願が存在する可能性がある。特許は出願から公開まで1年半の期間が置かれるからだ。

 もっともこれら13件の特許は出願されただけで,いずれも成立はしていない。成立するには,出願を審査するように特許庁へ請求し,審査官から「特許査定」を得なくてはならない。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション