平成電電は固定電話サービス「CHOKKA」で,「電話加入権買取キャンペーン」を12月1日に開始する。CHOKKAに申し込んだユーザーから,NTTの電話加入権を最大3万6000円で買い取る。CHOKKAの加入者は現在4万程度だが,平成電電の佐藤賢治社長は,「2005年3月には100万加入を想定している」と強気だ(写真)。

 CHOKKAは,東西NTTから電話線を借りて平成電電が提供する固定電話サービス。企業ユーザーがCHOKKAに申し込めば,原則として3万6000円で加入権を買い取る。個人ユーザーの場合は,CHOKKAの利用状況や他サービスとの組み合わせで加入権の買取価格が変わる。例えば,CHOKKAと平成電電のADSL(asymmetric digital subscriber line)インターネット・サービスを同時に加入すれば3万6000円だが,CHOKKAだけの場合は通話料の支払額に応じて買取価格が変わる。ただし,3年の最低利用期間が条件で,途中で解約すれば違約金が必要となる。

 平成電電の買取価格は,現状の加入権の取引価格よりも大幅に高い。全日本電話取引業協会の調べによると10月時点で1万1000円程度で,買取を中止している取引業者が多い。東西NTTが2005年3月に,「施設設置負担金」(電話加入権)を7万2000円から3万6000円に値下げすることや,総務省が負担金廃止を容認する姿勢を出したためである。平成電電は,3万6000円という高値で加入権を買い取って,CHOKKAの加入者を増やす。

 さらに平成電電の佐藤社長は,日本テレコムの固定電話サービス「おとくライン」のサービス差し止めを求めて,11月29日に東京地方裁判所に提訴することを明らかにした(関連記事)。「日本テレコムのおとくラインは,当社の営業上の秘密や技術などを使っている。今春に実施していた当社の部門の売却交渉の中でもれた。詳細は29日に明らかにする」(佐藤社長)と述べた。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション