総務省は11月24日,無線を利用した広帯域な通信サービスの導入と効果について議論する「ワイヤレスブロードバンド推進研究会」の初回会合を開催した(写真)。無線LANや固定無線のFWA(fixed wireless access),携帯電話など無線を使う様々なサービスの利用を想定し,話し合いが始まった。

 研究会は大きく3段階で,2005年11月まで1年間に渡り議論を進めていく。2005年3月には中間報告書をまとめる予定。総務省総合通信基盤局の有冨寛一郎局長は「電波の許認可まで含めた,大きなワイヤレス政策として取り組みたい」とし,研究会の結果が電波政策に反映されることを宣言した。

 議論の第一段階は無線を利用したブロードバンド・サービスの国内外における提供状況の調査である。そして第二段階が国内における同サービスの利用イメージや経済効果の把握。最後の第三段階では同サービスを利用するために必要な周波数の配分方法や費用負担についても検討する。

 今回の取り組みは2003年に決定した電波政策を実行に移したものと言える。具体的には,携帯電話など移動通信は現行の約270MHz幅を約10年後には最大1380MHz幅に,現行で約200MHz幅の無線LANは最大740MHz幅が必要としていた。合計で電波の帯域を4~5倍に拡張する。

 研究会には,幅広い分野から構成員が集まった。NECやインテル,東芝といったメーカー,KDDIやNTTドコモ,NTT西日本など通信事業者だけでなく,NHKや日本民間放送連盟など放送事業者とその関連団体も参加。総勢24名のメンバーが顔をそろえた。総務省側は電波部長や電波政策課長などが参加。電波行政の観点から研究会に取り組んでいる。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション