DDIポケットの喜久川政樹経営企画本部長は「システム的な特徴から言うとPHSは震災に強い」と言う(写真)。

 一般にPHSの基地局はサービス・エリア内に300~500mおきに設置していく。携帯電話に比べて多くの基地局でサービスを提供しており,一つのエリアを複数の基地局でカバーしている。そのため「一つの基地局がアンテナの倒壊などで停止しても隣の基地局でカバーできる」(喜久川本部長)。

 今回の震災では東西NTTの加入電話やISDN,各社の携帯電話の発信が規制され,通話できない状態が断続的に続いた。DDIポケットのPHSも東西NTTのISDNサービスを中継網に利用しており,音声での通話は同様に規制対象となる。

 ただし,メールやWeb閲覧で利用するパケット課金のデータ通信サービスは「規制の対象ではない」(喜久川本部長)。東西NTTの収容局から先のDDIポケットのバックボーンまでは自社で運営するIP網であるからだ。

 基地局への商用電源が止まればPHSのサービスは利用できなくなる。今回の地震発生直後は中越地区を中心に約400局が停止に追い込まれた。この数は新潟県内にある基地局総数(約2600)のおよそ15%にあたる。

 もっとも,「約2割の基地局は予備バッテリーを搭載している。しかもバッテリーを搭載した基地局の設置場所は,地理的にばらしてある」(喜久川本部長)といい,最悪の場合でも場所を移動することでサービスが利用できる可能性があるとした。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション