国際系通信事業者のアジア・ネットコムは11月11日,日本と中国を結ぶ地下海底ケーブルを2005年内にも開通することを明らかにした。地下海底ケーブルは東京と青島(チンタオ)を結ぶ。既存の地下海底ケーブルは上海で陸揚げされていたが,2008年に控える北京オリンピックを視野に入れて,北京に近いチンタオで新たに陸揚げする。

 アジア・ネットコムは中国の固定通信事業者の一つ,チャイナ・ネットコムの100%子会社。日本や香港,シンガポールなどアジア全域にネットワークを持ち,中国全域に展開しているチャイナ・ネットコムのバックボーンとは直結している。チャイナ・ネットコムは北京オリンピックの公式スポンサーで,「北京オリンピックのハイビジョン映像を今回開通する日中間の地下海底ケーブルを使って非圧縮のまま日本に送ること検討している」(アジア・ネットコム・ジャパン)という。

 またアジア・ネットコムは,2004年4月から構築をしてきた東京都内のネットワークが2005年1月にも完成すると発表した。従来のネットワークは国内の通信事業者から回線を借りて構築していたが,自社で敷設した光ファイバに切り替え,DWDM(dense wavelength division multiplex)で伝送することで最大20Gビット/秒のネットワークが完成する。

 さらに今回完成する新ネットワークでは,光の波長で経路を制御するGMPLS(generalized multiprotocol label switching)の導入を予定している。GMPLSはこれまで,日本のように縦長のネットワーク構成には適さないと言われてきた。だが,「当社のネットワークはアジア全域に広がっており,欧米と似た面的なネットワークだ。GMPLSに導入に適している」(アジア・ネットコム・ジャパンの石井秀雄・取締役兼ネットワーク事業部長)と言う。加えて石井取締役は,「ネットワークのレイヤー1上を流れるトラフィックの大半がインターネット接続などレイヤー3のもの。レイヤー3の技術者がレイヤー1の運用を担当することで,ネットワーク帯域の利用効率や信頼性の向上が図れる」(石井取締役)と説明する。

(山根 小雪=日経コミュニケーション